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ニュースリリース

あの日あの頃 ~私の原点~

お金は"ありがとうの引換券"

 熊本工業大(現・崇城大)卒業後、私は、一代で会社を大きくした寿崎肇氏に憧れ、地元の寿屋に入社した。そこで、イノベーションやマーケティングなどを徹底して学び、社会人の基礎を作る貴重な時間を過ごした。しかし、銀行出身の社長に交代し、これまでとは違った施策が打ち出されると、徐々に仕事に魅力を感じなくなり、転職を決意した。

 当時は、パソコンが世の中に普及し始めていた時代であり、パソコン販売のアプライドに入社した私は、現場の店員から店長、販売促進、管理部門などさまざまな仕事を経験した。やがて、役員に登用され、岡義治社長からさまざまな薫陶を受けたが、今でも耳に焼き付いているのは、「中古は、人が使った物だから価値は低い。だが、その価値を上げるのが面白いのだ」という言葉だ。新品の価値は上げようがないが、中古はキレイに磨き、部品を交換するなど付加価値をつければ、その価値は大きく上がる。それならば、自分なりの付加価値をつけて、勝負したい。そう考えた私は、2003年8月、36歳の時に中古パソコン販売の「メディエイター」を起業した。

 独立したといえば聞こえはいいが、これといった当てもなく、親戚や友人に片っ端から電話して、パソコン購入の依頼をするばかり。焦れば焦るほど空回りし、独立後、初めて手にした給料はわずか3万円だった。子供3人を抱え、妻との関係もかなりぎくしゃくし、口論が絶えなかったが、後戻りはできない。

 そんな時、地域の公民館にインターネットを引くので、説明会を行ってほしいとの依頼が舞い込んだ。そこで私は、中古パソコン数台を持ち込み、インターネットの面白さ、生活の変化というのを熱心に話すと、あるご婦人がその説明に感動し、契約してくれという。後日、ご婦人宅に夕方5時にうかがい、途中、夕食をご馳走になりながら、夜11時ごろまでパソコンの使い方や、ご婦人の趣味やパソコンでしたいことをうかがい、アイコンの使い方などを徹底的にレクチャーした。それを聞いたご婦人は、帰り際、「今日は熱心な説明をありがとう。これで、ご家族で食事でもしてください」と、代金と別に1万円を祝儀袋に包んでくださったのである。

 このとき私は、お客様は、感謝の代価としてお金を支払ってくださるのであり、こちらがこれくらい儲けようと思うと、決してうまく行かない事を痛感した。これこそが当社の原点であり、経営理念「お金は"ありがとうの引換券"」はこの時の感動を表している。

創業当時、バックヤードを兼ねた1坪の社長室で

 やがて、そのご婦人の紹介で3人の購入が決まり、さらに、紹介の輪が広がり、ついに、福岡市西新に中古パソコン販売の「パソコン市場」第1号店を出店した。当初は軌道に乗らず、経営はかなり苦しかったが、そんな時、友人から勧められ、料金の圧倒的安さ、年配者用にアイコンを大きくしている点、初期の出荷状態に戻していることなど自社のパソコンの特徴を私自身が記事広告としてまとめ、九州の地方紙に掲載した。すると予想以上の反響があり、西新店には九州各地から集まった大勢の行列ができるようになった。

 その後、各県に同様のモデルを展開し、2年あまりで約6億円の売り上げを達成。事業は軌道に乗ったが、私は、これ以上やるとリスクが大きいと判断し、拡大路線に歯止めをかけた。しかし、事業とは不思議な物で、そこから全てがいかなくなってしまった。それは、事業の停滞や足踏みは、結局指示待ち人間を育ててしまうからだ。会社や組織を守ろうとすればするほど、会社に守られようとする人間を育ててしまうのである。

 以来、再び出店攻勢をかけ、現在、九州や首都圏など総数22店舗を数えるまでになった。また、福祉介護用品の販売も手がけ、近い将来の上場を視野に入れている。そのために今最も不可欠なのは、事業を成功させることではなく、事業を成功させる人を全力で育成し、未来へつなげることだと考えている。

毎年行われる会社の方針説明会

 

「パソコン市場」には、様々な種類のパソコンが格安で並ぶ

財界九州 3月号